ビジネスで「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉がよく聞かれるようになりました。 マーケティングリサーチの世界でも、DXが進み、既存のリサーチ手法とインターネットやオンラインツールを組み合わせたり、全く新しいテクノロジーを使ったリサーチが行われたりしています。今回はデジタル化に関連した消費者の環境と、デジタル時代に対応した新しいマーケティングリサーチをご紹介します。

消費者を取り巻くデジタル環境

総務省の通信利用動向調査によると、2019年時点で日本での個人のインターネット利用率は89.8%です。 また、同じ調査によると63.3%がスマホ、50.4%がパソコン、23.2%がタブレット端末からインターネットを利用しています。

これだけの消費者がインターネットやデジタルデバイスに慣れてくると、インターネットを使った情報収集や情報交換も活発になります。 1つの製品を購入するにしても、口コミサイトで念入りにレビューを読んでから購入しますし、購入して気に入ったらSNSで感想をシェアするわけです。

既存のリサーチ手法のデジタル化

私がマーケティングリサーチの世界に入った20年ほど前は、インターネットで消費者に対してマーケティングリサーチをするのは一部の業界や一部の年代に限られていました。現在ほどインターネットが普及していなかったため、インターネットのリサーチ精度が疑問視されていたからです。

現在、インターネットやデジタルデバイスを使ったマーケティングリサーチは一般的になりました。 最近のリサーチのデジタル化で目立つのは、これまでリアルの会場で行っていたインタビュー調査をオンラインで行うようになったことです。

新型コロナウイルスの流行に伴い、Zoomなどのオンライン会議ツールを使ったインタビューが増えています。 オンラインインタビューは、どこに住んでいても、子育て中でも、介護中でも自宅から消費者が参加できます。

また、SNSやスマホのメッセージアプリを使ったチャットインタビューも増えています。これも時間や場所の制約を受けません。 このようにデジタル化が進んだことにより、以前より多様な消費者の声を集めることが可能になりました。

時間や場所の制約を受けないのは、マーケティングのご担当者も同様です。今までバックルームでインタビューをご覧になっていた方も、これからはウェブカメラやご自身のパソコンやスマホを使い、オフィスやご自宅にいてもインタビューをご覧いただけます。

最近海外のマーケティングリサーチでは、インタビュー調査ガイドに必ず「ウェブカメラでクライアントが見ていることを参加者に伝える」と書かれています。海外からもインタビューに参加したり、インタビューをモニターすることは可能になっています。

新しいテクノロジーを使ったリサーチ手法

また、新しいテクノロジーを使った新しいリサーチも生まれています。 従来のマーケティングリサーチでは、消費者が質問に対して選択肢を選んだり、口頭で回答したりしていました。 以下の手法では、いずれも言葉には表れない消費者の反応を捉えることができます。やや大がかりですが、トレンドとしてご紹介いたします。

【ニューロリサーチ】

ニューロリサーチでは、脳波などの神経活動の反応をリサーチします。脳波計を使用して、消費者が何かを見たり聞いたりしたときの脳波を測定します。 例えば、CM動画の共感度を測定したりするときに使用されています。

【表情解析】

消費者の顔の表情から感情を読むリサーチ手法です。表情筋の動きを専用のソフトウェアが捉えます。 この手法もCM動画を見たときの反応を見る場合などに使用されています。

【アイトラッキング】

専用の装置を使って、消費者の視線の動きを測定するリサーチです。消費者がどこを、どのような経路で、どのくらいの時間見ているかをデータ化することができます。例えば、店舗内をどのように見てショッピングしているかを把握できます。

いかがでしょうか。デジタル化や新しいテクノロジーはマーケティングリサーチの世界でも進んでいるということをご紹介しました。 ぜひ、御社でもデジタル化時代に対応したマーケティングリサーチをご活用ください。私どもがサポートいたします。