化粧品の定義

化粧品のマーケティングをお話しする前に、今一度化粧品とは何かということを正確に把握しましょう。

・化粧品とは、使用や塗布によって肌や体を清潔にしたり、うるおいを与えたり、見た目を美しくしたりする作用が優しい製品です。いわゆる基礎化粧品、メーキャップ化粧品、ヘアケア製品等になります。

医薬品医療機器等法(薬機法)第2条第3項では、下記のように定義付けられています。

『人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。』その効能表現は56種に限られており、簡単に言ってしまえば、肌に変化や改善等の効果がない製品ということになります。

医薬部外品(薬用化粧品)

上記の化粧品の中には医薬部外品若しくは薬用化粧品といわれる製品が存在します。

化粧品と医薬品の中間的な位置付で、薬用効果はあっても人体に対しての作用は穏やかなものになります。謳える効果は決まっており、その表現も配合成分によって限られています。例えば、美白製品であれば化粧品の効能表現56種プラス配合有効成分の決められた表現ということになります。薬用化粧品にすることで、消費者により効果があるようなイメージを与えたり、高い売価をつけている製品はよく見かけます。

化粧品にマーケティングが必要な訳

上記のように、表現が定められている化粧品は、差別化が非常に難しく、マーケティング担当者はいつも苦労します。今までの製品との違いや競合製品に対しての優位性をどのように消費者に伝えるかが製品の成否にかかわってくるからです。この辺については、薬機法のコラムも是非参照してください。

数年前まではWeb上での表現は他のメディアと比較するとまだ緩やかだったのが、最近はAmazonや楽天市場、雑誌のWebページ等の自主規制までもどんどん厳しくなって、逆に自社HPの表現を指摘されることさえあります。

前回お話ししたように、化粧品業界はレッドオーシャンです。そして化粧品という製品は、極端な言い方をすれば、水の占める量が圧倒的に多く、それに限られた成分を少し加えてできています。似たような製品は数限りなくあります。その中で差別化するにはどうすればいいでしょうか。

私は、マーケティングの役割の一つはその製品にいかに価値を付けるかだと思っています。言い換えれば、顧客にいかにその製品が必要だと感じてもらい、高いお金を払っても買いたい!と思っていただくことです。

その為には何をすればいいでしょうか。まずは、3C(Company:自社, Customer:顧客, Competitor:競合)分析や STP(Segmentation:市場分割, Targeting:標的市場の決定, Positioning:顧客の心の中での自社、自社製品のポジション設定)が現在の状況にあっているかを確認してみてはどうでしょう。孫子の「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」ではありませんが、冷静な現状把握がいつも大切だと思います。