通販ビジネスをなさる皆様は、自社で行ったアンケートや新聞、雑誌などのメディアに掲載されたアンケートの結果を参照して、業務上の企画や決定をすることがあるかと思います。しかし、「この結果をそのまま信用していいのかな?」と不安に感じたことはないでしょうか。今回は、リサーチ結果を利用する際に注意すべき点をいくつかご紹介いたします。

■ リサーチ実施者

まず、リサーチの実施者は「どのような立場でリサーチをしたか」という点です。 たとえば、ある企業が自社顧客向けに行ったアンケートで、自社と競合他社の企業イメージや満足度を聴取した場合、自ずと自社のスコアの方が高くなります。

リサーチ実施者に都合のよい調査結果が出るようなリサーチは信用できません。 そのリサーチが公平な立場で行われたものか注意しましょう。

■ リサーチ対象者

「リサーチ対象者」によっても回答は異なります。

たとえば、最近リモートワーク実施率をいろいろなメディアのリサーチ結果で見かけますが、どの地域でのリサーチか、従業員何人くらいの企業が対象なのか、職種は何か、非正規労働者を含むのか、などといった属性によって、回答は全く異なります。

■ リサーチ方法

「リサーチ方法」によっても回答は異なります。

たとえば、オンラインショッピング利用率については、インターネット調査で実施した場合は回答者が100%インターネット利用者です。 そのため、インターネット以外を使って調査をした場合と比べて、はるかにスコアが高くなります。

■ リサーチ時期

変化の激しい現代社会では、お客様の行動や意識もどんどん変わっていきます。

なるべく最近実施された調査結果を利用しましょう。 古くても2、3年以内のものが理想的です。

また、季節性のある商品のアンケートは、よく使われる時期に実施されたものの方が信用できます。 日焼け止め商品のアンケートなら春から夏の間に実施されたものの方がより現実を反映した結果になっているはずです。

■ データ数

なるべくデータ数の多いリサーチを参照することが賢明です。 通常ビジネスで利用されるリサーチは、「標本調査」といって、ある調査対象の集団があった場合、その一部に対して行われます。

日本に住む50代女性をターゲットとする商品についてアンケートをするとしても、日本の50代女性 全員にリサーチすることは予算やスケジュールの都合でほぼ不可能です。 しかし、可能なかぎりの規模の人数をランダムに抽出してリサーチすれば、誤差はあるものの、信頼性のあるデータを得られます。 (※標本誤差といいます)

「標本誤差」は、「スコアが50%」のときに最も生じやすくなります。 回答者数100人の場合、「誤差は最大±10%」です。 一方、回答者数500人の場合、「誤差は最大±5%」です。

■ 出典

雑誌などに掲載されたリサーチデータの中には、元々のデータではなく、新聞記事に掲載されたデータを、さらに引用していることがあります。

可能であれば元データにさかのぼって確認しましょう。 転載されたデータが間違っている場合もありますし、再解釈が加えられている場合もあります。

【番外編】国際調査における国民性

新聞などに国際比較調査が掲載されている場合がありますが、意識関連のスコアについては国民性が出ます。

一般的に、東南アジアや南米の消費者では、どのような質問にも極端に「同意する」回答傾向があります。 日本人のお客様と単純に比較しても意味がありません。 リサーチ結果だけを見て、「この国のお客様は、うちの商品が大好きなんだ」と思うのは早計といえます。

リサーチ結果を読む際に注意すべき点についてご理解いただけましたでしょうか。 他にリサーチ結果をご利用の際にお困りのことがございましたら、当社がサポートいたしますので、ぜひお声がけください。