株式会社ディー・スタイルクリエイトの代表の瓦田です。

最初にお伝えしておきたいことがあります。

私は、クーポンそのものが悪いとは思っていません。状況によっては、必要な施策ですし、適切に使えば顧客の背中をそっと押す役割も果たします。

ただし――

使い方を間違えると、関係性を一気に壊してしまう瞬間がある。

これは、これまで多くのD2C現場を見てきて、何度も感じてきたことです。

問題は「割引」ではなく「理由の不在」

クーポン施策で最も危険なのは、

理由の説明を放棄したまま、割引だけを出してしまうことです。

・なぜ今なのか
・なぜこの人に出しているのか
・なぜ割引が必要なのか

この説明がないままクーポンを出すと、企業側が意図していなくても、顧客の中で“学習”が起こります。
 

顧客は、無意識のうちに学習している

クーポンが繰り返されると、顧客の中には次のような認識が静かに蓄積されていきます。

・安い時に買えばいい
・定価では価値が足りない
・困ったら値引きされる

ここで重要なのは、

顧客が不満を口にするわけではないという点です。

表面上は何も起きません。ただ、定価では買われなくなり、クーポンがないと反応が取れなくなる。

これは顧客の問題ではなく、
企業側が意図せず教えてしまった結果です。

クーポンが「説明の代替」になった瞬間

本来、クーポンは「最後の一押し」です。

・納得している
・価値を理解している
・続ける意味が分かっている

その上で、

「今なら、少しだけ背中を押します」

という役割で使われるべきものです。

しかし現場では、

・説明する時間がない
・説得が難しい
・数字を早く作りたい

といった理由から、
説明の代わりにクーポンを出してしまうケースが少なくありません。

この瞬間、関係性は少しずつ崩れ始めます。

続くD2Cが必ずやっていること

継続率が安定しているD2Cには、共通点があります。

それは、

割引を出す前に、必ず「納得」を積み上げていることです。

・なぜ今、この商品が必要なのか
・なぜ続ける意味があるのか
・使い続けると、どんな変化があるのか

これらを、

メール、LINE、同梱物、コンテンツを通じて、丁寧に伝えています。

だからこそ、割引を出しても「安売り」にならない。

短期の数字と、長期の信頼のトレードオフ

理由なきクーポンは、短期的には数字を作ります。

・今月の売上
・キャンペーンの達成率
・一時的なCVR改善

しかし、その裏側で、

・定価での購入意欲
・自発的な継続
・ブランドへの信頼

が、少しずつ削られていきます。

短期の数字と引き換えに、長期の信頼を削っている状態です。

クーポンが機能している会社、していない会社

同じクーポン施策でも、結果が大きく分かれる理由があります。

機能している会社は、

・誰に
・どのタイミングで
・どんな文脈で

出しているかが明確です。

一方、うまくいかない会社ほど、

・全員に
・毎回
・理由なく

出してしまう。

この差が、関係性の深さを分けます。

クーポンは「信頼の上」にしか乗らない

クーポンは万能ではありません。

信頼がない状態で出せば、値引きになります。
信頼がある状態で出せば、配慮になります。

同じ10%OFFでも、意味はまったく違います。

最後に|価値を補強しているか、代替しているか

最後に、一つだけ問いを投げさせてください。

貴社のクーポンは、

価値を補強していますか。

それとも、

説明の代替になっていますか。

もし後者だと感じるのであれば、見直すべきは割引率ではありません。

その前にある「伝え方」や「関係性の設計」かもしれません。

売るためではなく、続くD2Cをつくるために。

 

株式会社ディー・スタイルクリエイト
代表取締役 瓦田

カテゴリー: D2Cコラム