株式会社ディー・スタイルクリエイトの瓦田です。

化粧品や健康食品のD2C事業に携わる方々とお話しする中で、ここ数年、特に強く感じていることがあります。
それは、「売れる仕組み」は多くの企業が持ち始めている一方で、「続く仕組み」を持っている企業は、まだ決して多くないという現実です。

CPA、ROAS、CVR。これらの指標はもちろん重要です。

ただ、これらはすべて“結果”であって、事業を安定させるための“原因”ではありません。
私が一貫して見ているのは、「なぜその商品が、選ばれ続けるのか」という一点です。

D2Cは商品ビジネスではなく、関係性のビジネスです。
この前提をどう設計するかで、1年後、3年後の景色は大きく変わります。

なぜD2Cは、いつまでも楽にならないのか

多くのD2C企業が、新規獲得に追われ続けています。
広告費は年々高騰し、少しでも手を緩めると売上が落ちる。
これは個別企業の努力不足ではなく、構造的な問題です。

新規獲得に偏重した状態は、例えるなら「穴の空いたバケツ」に水を注ぎ続けているようなものです。どれだけ水を注いでも、底から漏れていく。既存顧客が定着しない限り、事業は永遠に不安定なままです。

特に化粧品・健康食品は、継続してこそ価値を実感できる商材です。本来であれば、最もCRMと相性が良い業界のはずです。
それにも関わらず、新規獲得の数字ばかりがKPIになってしまう。このズレが、現場を疲弊させます。

「一時的に売れる施策」が、未来を削る理由

値引き、煽り、限定訴求。短期的に売上を作る方法はいくらでもあります。
ただし、これらの施策は同時に、顧客側に“学習”を起こします。

・次はもっと安くなるのではないか
・急いで買う必要はないのではないか
・定価では買わない方がいいのではないか

これは顧客の意思の問題ではなく、企業側が設計してしまった結果です。
売れた理由が「安かったから」なのか、「必要性に納得できたから」なのか。
この差は、LTVに如実に表れます。

続くD2Cは、売るたびに「納得」と「信頼」を積み上げます。
だからこそ、私たちは短期的な数字が良かった施策ほど、慎重に振り返る必要があると考えています。

D2Cの本質は「顧客状態の移動」にある

私たちは、顧客を一律に見ません。未購買、単品購入、定期初期、定期安定、ロイヤル。
それぞれの状態で、顧客心理はまったく異なります。

にも関わらず、同じ内容のメール、同じ頻度のLINE、同じ同梱物を送ってしまう。これでは、関係性は深まりません。

重要なのは、「いま、このお客様はどの状態にいるのか」を理解し、その状態に合った接点を設計することです。
F2の壁、3回目の壁、6回目の壁。それぞれに越えるべき心理的ハードルがあります。

CRMとは、ツールの話ではありません。
顧客の心理変化に合わせて、言葉・タイミング・手段を変える“設計思想”そのものです。

成果を分けるのは、派手な施策ではない

成果が出ている企業に共通しているのは、奇抜なキャンペーンではありません。むしろ、とても地味です。

・最初の使い方で失敗させない
・不安になる前に、先回りして伝える
・「解約しやすさ」を隠さない
・担当者の顔や考え方が見える

これらはすべて、「この会社は、ちゃんと自分のことを考えてくれている」という安心感につながります。脳科学的にも、人は安心できる対象に対して、継続的な選択をしやすくなります。

私たちは、メール、同梱物、LINE、動画、DMといった手段を使いますが、重要なのは“何を使うか”ではなく、“なぜその手段なのか”です。

N1に向き合う覚悟が、LTVを決める

「全体最適」という言葉は便利ですが、時に思考停止を招きます。ロイヤル顧客がなぜ続けてくれているのか。一度で離れてしまったお客様は、どこで期待を裏切られたのか。

管理画面の数字だけを見ていても、答えは出ません。必要なのは、N=1、たった一人の顧客に向き合うことです。

インタビュー、アンケート、クレーム、何気ない一言。その中に、改善のヒントは必ずあります。多くの企業が面倒がってやらないからこそ、ここに差が生まれます。

「続くD2C」をつくるということ

私たちディー・スタイルクリエイトが目指しているのは、売上を一時的に伸ばすことではありません。3回、6回、12回、そして3年、5年と続く関係性を設計することです。

そのために必要なのは、顧客を数字ではなく「人」として見る視点。
そして、短期的な正解よりも、長期的な信頼を選ぶ覚悟です。

このコラムが、いまD2Cの現場で悩んでいる方にとって、一度立ち止まり、設計を見直すきっかけになれば幸いです。

売るためではなく、続くD2Cをつくるために。

 

株式会社ディー・スタイルクリエイト
代表取締役 瓦田

カテゴリー: 社長コラム