消費者向け商品・サービスを提供する企業の多くが、インターネットを使って認知度調査をしています。 わざわざ企業がお金をかけて認知度を測定するのは、それだけ認知度が重要な指標だからです。

消費者の購買行動プロセスのモデルである「AIDMA」で、Attention(注意)が最初に出てくることからもわかるように、消費者に注意を向けてもらうこと、認知してもらうことは、購買行動プロセスのスタートです。 今回は企業にとってなぜ認知度が重要なのか、認知度の聴取方法にはどのようなものがあるのかをご紹介します。

知らないブランドは興味すら持ってもらえない

以前、日本経済新聞の実施した紙面企画で、協賛企業のロゴマークを掲出し、好きなロゴマーク10個をアプリでスキャンしてもらい、プレゼントに応募してもらうという企画がありました。同時に、それぞれの企業の認知度も聴取しました。 すると、ロゴマークでスキャンされた件数と認知度との間には高い相関があったそうです*。

これは、消費者がすでに知っている企業に興味を持つ傾向があるということを示しています。 逆に、知らないブランドには興味すら持ってもらいにくいのです。 そのため、まずは認知度を向上させなくてはなりません。

また、認知度は市場における自社の立ち位置を示す指標でもあります。 どのような戦略を立てるにも、最初に自社の現状と競合環境を把握しておく必要があります。

認知度の聴取法

認知度にはいくつか種類があります。 皆様の会社でも認知度向上を目指す場合、社内で混乱が生じないように、どの認知度を何%にするか、また何をゴールとするか、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

■ 純粋想起

選択肢などのヒントを与えずにブランド名を自由回答形式で回答してもらうことです。 たとえば「マルチビタミンサプリメントと言えば、どの企業を思い浮かべますか」という文面で質問します。 このとき、最初に挙がる企業名(またはブランド名や商品名)を「第一想起」といいます。

■ 助成想起

選択肢などのヒントを与えて、ブランド名を選択形式で回答してもらう回答方法です。

認知度調査で注意すべき点

適切な回答者に対して聴取する

認知度を正確に測定するには、自社企業のカテゴリ製品(スキンケア化粧品、サプリメントなど)を普段使用している人に聴取すべきです。 特定のブランドのユーザーだけに調査をしても、正確な認知度を測定できないので、注意しましょう。

助成想起には競合企業も回答選択肢に含める

助成想起質問には、自社企業の他にベンチマークとなる競合企業を含めておくことをおすすめします。自社の立ち位置を競合企業と比較できるからです。

認知経路も聴取する

ブランド認知者には、どこでそれを知ったのか聴取する質問を含めておくと良いでしょう。 認知度が高い競合企業と自社企業の認知経路の違いにも注意する必要があります。 そもそも販売チャネルの異なる企業とは認知経路も異なります。

必ず純粋想起→助成想起の順に聞く

純粋想起質問はアンケート内の位置が重要です。 たとえ純粋想起質問の中に企業名のヒントとなる情報がなくても、純粋想起質問より前に企業名のヒントとなる質問があっては、正確な純粋想起率を測定することはできません。そのため、なるべく純粋想起質問はアンケートの最初の方で聞いておく方が良いです。 また、純粋想起質問は助成想起質問より前に聴取します。

認知度の重要性と認知度の聴取方法についてご理解いただけましたでしょうか。 認知度調査の実施をご検討の場合、当社が皆様をアンケート設計からサポートいたしますので、ぜひお声がけください。

* 出典:日経マーケティングポータル「オンライン時代こそ、認知度が重要」