リサーチを企画する

リサーチのプロセスの中で、最初のプロセスとなるのが「企画」です。企画で失敗してしまってはその後のプロセス(フィールドワーク、分析、報告)もうまくいきません。 この記事では、どのような点に注意してリサーチを企画すればよいかについてご紹介します。

まずは「調査企画書」

リサーチの企画には、何をおいても「企画書」が必要です。そんなの当たり前だと思いますか。実際は定期的に実施しているようなリサーチについては、書類としてきちんとした企画書をつくらないこともあるのではないでしょうか。

私は以前きちんと書類で企画書をつくらずにリサーチを進めようとしたことがありました。そしてそのリサーチ後のアクションを調査実施前に上司に聞かれたとき、すぐ答えられないことがありました。上司からは、私が企画書をつくっていないからそういうことになるんだと指摘されました。

これではいけません。企画書があることによって、担当者自身も含め関係者全員がそのリサーチについて共通認識を持ち、正しくリサーチ結果を利用できるのです。

また、リサーチの企画書は、定型化しているものであっても毎回書類で関係者が閲覧できる形にしておいた方がいいです。しかも、メールのテキストではなく、独立した書類として残しておき、関係者は誰でも、いつでも見られるようにしておいた方がいいです。

「調査企画書」に必要な項目

それでは顧客満足度調査の目的とは、お客様の満足度を把握すること…だけでしょうか? いいえ、違います。 市場調査はすべて、その結果をどう使うかという具体的なアクションまで含めて目的になっていないと、実施する意味がありません。

リサーチ目的

企画書で一番重要なのが「リサーチ目的」です。一番重要なので、一番上に記載します。リサーチ目的には必ず次のアクションも記載します。可能であれば、どのような結果だったらどういうアクションをとるということもあらかじめ決めておきます。

たとえば、化粧品ブランドAの顧客満足度調査をするとします。目的は顧客満足度を把握してラインナップを増やすかどうか決定すること。もし回答者全体の満足度が95パーセント以上だったら、ラインナップを増やすことにする、95パーセントに満たない場合は関係者で相談、と決めておくのです。

リサーチ手法

リサーチ目的に応じてリサーチ手法を選び、記載します(例:インターネット調査、グループインタビューなど)。

リサーチ対象者

リサーチ対象者は、誰にリサーチすると最も課題解決につながるかを考えて決めます。たとえば化粧品ブランドAの顧客満足度調査であれば、その購入者でなくてはなりません。必要があれば年代も制限をつけ、「20代」などとします。

リサーチ項目

リサーチ項目は、課題解決のために必要な項目です。これを元に、定量調査のアンケートや定性調査のインタビューガイドなどの質問文・回答選択肢をつくることになります。化粧品ブランドAの顧客満足度調査であれば、年齢、満足度、満足の理由、不満の理由などが代表的なリサーチ項目です。

リサーチのスケジュール

いつ回答者にリサーチを回答してもらう必要があるか、いつまでにリサーチ結果が必要か、などを考えてスケジュールを立てます。 たとえば化粧品Bの広告効果測定調査であれば、広告投下直前と広告投下直後にリサーチを実施してお客様の反応の変化をチェックする必要があります。

また、崩れにくいファンデーションの使用感調査をする場合はお客様が汗をかきやすい春から夏にかけて実施するのが妥当です。 さらに社内的な事情で指定の日にリサーチ結果をプレゼンしなくてはならない場合は、そこから逆算していつリサーチするかを決めることもあります。

上記のような点を考慮した上で、企画書には以下のような項目の時期を明確に記載します。
  • アンケートを確定させる日
  • リサーチ結果速報が出る日
  • リサーチ報告書の完成日
  • リサーチ結果報告会の日
 

リサーチ予算

リサーチでいろんなことを知りたいという思いはあるでしょうが、リサーチ内容が盛りだくさんだったり、非常にニッチなお客様を探してリサーチしたりするとお金も多くかかります。予算を明確にすることでリサーチできる範囲も自ずと決まります。

このような点に注意して企画書をつくりリサーチを実施すれば、課題解決につながるリサーチができると思います。